腰痛診療の最前線

はじめに

今回細々とインスタグラムにまとめていた腰痛診療ガイドラインは私の目線でご紹介させていただきます。
注:あくまで個人の見解なのでイコール正解ではありません。詳細を知りたい方はご自身で書籍の購入をお願いいたします。

腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)

腰痛診療ガイドライン
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約5年ぶりの刷新

前回の臨床ガイドラインが2014年なので約5年ぶりに刷新されています。
前回は非特異的腰痛が80%となかなかの数字でしたが今回はどうなっているでしょうか?

非特異的腰痛22%

非特異的腰痛とは診断がつかない腰痛、痛みの原因が不明な腰痛という意味で使われます。

今回新しく定義された腰痛は・・・

専門職種ではない方も読まれますので、筋肉にしていますが、正確には筋・筋膜となります。関節・筋肉・椎間板は理学療法で対応可能となりますので約60%は対応可能な腰痛となります。全部ではありませんが、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア等も重症化していなければ場合により対応できますのでより腰部痛への対応は可能となります。

そもそも腰痛の腰ってどこ?

疼痛の部位からの定義としては

「体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にあう、少なくとも1日以上継続する痛み、片側、または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も伴わない場合もある」

と定義されています。患者さんによっては肩甲骨の少し下を腰痛と表現したり大腿部のあたりを腰痛と表現することもありますが、基本的には最下肋骨とお尻の溝の一番下ってイメージですね!

最下肋骨と殿溝下端は予測ですが、
腰痛はだいたいこのぐらいの範囲になってきます。

多くの場合、殿部近くか骨盤の直上のあたりが痛みを訴えます。筋、関節の場合が多く、椎間板はそれに次いでというイメージですね。

腰痛はほっといても大丈夫なの?

ほっといてOK!、ダメダメ!すぐに対処しなきゃ!は実はまだ十分解明されていません。しかしながら痛みをほっておいても『直る』場合はありますが、『治る』わけではないのです。

改善する傾向は運動習慣がある。若い。健康等が挙げられます。

改善しない場合は過去に腰痛がある、加齢、肥満、喫煙、うつ、認知機能障害、交通事故後の発症、170cm以上の高身長の女性、低い教育レベルの場合は改善しない傾向があるようです。

腰痛がある場合安静?運動したほうがいい?

エビデンスの強さC(効果の推定値に対する確信は限定的である)
推奨度2(行うことを弱く勧める)

腰部痛を急性期(痛み出してから3週間まで)、慢性期(痛み出してから3ヶ月以降)にわけた場合ですが、

急性期:運動の効果なし(安静、薬、注射等)
慢性期:運動の効果は限定的にある

という状況です。ようはただただ運動します。歩きますではほぼ効果がない。もしくはあっても限定的ということが分かっています。

運動にも種類や量があり自分には何が効果があって、何が効果がないか等の効果判定ができるとより改善度合いが高くなります。

ぎっくり腰のような急性腰痛はあまり無理して運動するよりも痛みの出ない範囲で動いたり、安静にしていった方が良いのは臨床でも感じます。

急性期はロキソニンや湿布等の薬がとても効果を出す傾向がありますので、お試しいただいても良いかと思います。

電気治療やコルセットって効くの?

牽引:*エビデンスの強さC、*推奨度2
超音波:エビデンスの強さC、推奨度2
TENS:エビデンスの強さC、推奨度2
温熱:エビデンスの強さC、推奨度2
*エビデンスの強さC(効果の推定値に対する確信は限定的である)
*推奨度2(行うことを弱く勧める)

実際問題は人によりますが、多くの場合、コルセットだけ、電気だけ、あっためただけでは腰痛は改善しません。

時期によって例えば急性期では温熱療法はリラクゼーションという意味では価値があると私は考えていますが、コルセットの着用に関しては腰椎を過度に動かしてoveruseになっている場合を除いてあまり効果がない印象もあります。

例えばですが腰椎の可動性が低下し、胸椎や頸椎、股関節がその分過度に動いてoveruseを起こす場合や腰部の筋が不動による滑走障害を起こす場合も十分考えられます。このような場合は腰部コルセットの着用により悪化する場合や長期化する場合もあります。

なので状況によりますが、コルセットはむやみやたらにしない方がいいという考えです(あくまで私の場合です。)

腰痛に運動療法は有効?

巷では運動療法士という仕事?もあるようですが、今回は理学療法士が行う運動療法という意味で私は使います。

エビデンスの強さB(効果の推定値に中等度の確信がある)
推奨度1(行うことを強く推奨する)

運動療法は確実に効果があります。私が理学療法士だからとか、運動療法を使うとか関係なく、単純に臨床で効果があるから伝えます。

・具体的に
・どんな運動を
・何回
・どれくらいの期間で

等々詳細に決めていきます。当然一つ一つ効果判定をして、確実に効果が出る物を選定していきます。
これ自体はだれでも効果がある運動療法というものは存在せず、その人その人の動作パターンや痛みがでた原因により微調整が必要です。
最終的には良い反応をするかどうかという形です。

個人的にはですが、寝た状態で膝を伸ばしたまま足を少しだけ上げる(SLR検査といいます)で重さを覚えておき、運動をした後でその重さや上げやすさが少しでも良くなっていなければその運動は反応なしと判断します。

クリックすると新しいウィンドウで開きます
SLR検査。実際はこんなに挙げず、ちょこっとだけ挙げて様子をみていく。

自分で足を挙げます。どんな感じがするかを確認していきます。

運動をする前後にチェックしてみて動かしやすい、軽くあげられる等の効果があれば“効果あり”と判断します。

このように自分で自分の体をコントロールする意味でも何か指標にできるものを考えていけると自分で判断できますね!

簡単には腰痛体操なんてものも紹介されています。

ただ効果があるかどうかはしっかりとチェックしないといけません。

これだけで良くなったらいいですよね!良くなる人も確かにいますので、確認してみるといいと思います。

神経ブロックや手術は有効?

腰痛というとブロック注射や手術のイメージもあると思います。
実際どうなのかというと・・・

神経ブロック:エビデンスの強さC、推奨度2
手術:エビデンスの強さB、推奨度2

となっています。

神経ブロックは痺れや感覚障害、痛みとレントゲン・MRIの画像を確認して、ブロック注射をするか判断される医師も多いと思いますが、脊髄神経の問題であれば確実に効果があります。しかしながら筋肉が神経を圧迫している事が原因の症状や、姿勢の悪化による症状だとその場は効果がっても戻ってしまうことが多い印象です。
理学療法と医師でしっかりとコミュニケーションを図っていければよくなっていく腰痛もたくさんあると思います。

手術療法は脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア等での手術がポピュラーかと思いますが、こちらも骨や神経の問題であれば薬や理学療法、運動療法では太刀打ちできない症状には手術しかありません。リハビリのも全く反応しない症状があれば手術の検討も必要です。しかしながら理学療法士の能力が低く、変化を出せない場合もありますので、私の自戒も込めてですが、確実に反応を出せるか、否かで医師とのコミュニケーションも変わってくると思います。