肩関節の評価とその解釈

2月は上肢の評価と問題点の解釈をまとめます!
本日は棘上筋の作用を学んでいきたいと思います!!

はじめに

肩凝りや肩の重だるさ、肩の痛みは身体にかなりの悪影響を与え、日常生活の活動範囲を妨げます。
本当にひどい状態になってくると、ごはんを食卓で食べられなくなったり、洗濯ものを干せなくなったり、電車のつり革が持てない等生活に不都合なことが多く出てきます。
「平成28年 国民生活基礎調査の概況」によると女性のつらいと感じる症状の第1位!男性でも第2位となっています!

これらのことから肩関節に対する評価、治療を適切にできる能力をセラピストは待たざるを得ない状況です。青りはの情報だけでは足りない点もありますが、まずは基礎からまとめていきたいと思います。

安定と不安定の概念の理解

これは肩だけに限りませんが、関節の理解をしていく上で安定と不安定の概念は理解しないと先に進めません。

不安定な関節とは

関節の求心性を保つことができず、運動中心「支点」にぶれがある関節のことを指します。
関節が不安定になる原因として、関節の支点形成に関与する組織の破綻、器質的な緩み、拘縮、筋力低下、収縮スピード遅延等いろいろな状態が挙げられます。
関節が不安定=緩いというイメージもありますが、拘縮が起こることで関節周囲の生理的な張力バランスが崩れ支点のぶれにつながる場合もありますので、緩くても硬くてもぶれにはつながってきます。

安定した関節とは

では安定した関節とはどういった状態のことを指すかというと、関節の適正な「支点」がある状態を指します。
不安定になる原因がなく、ぶれずに「固定できている」状態です。
安定した関節では運動時、適正な支点の中で運動軌跡が形成され正しい動き方をしますので、そこに痛みや凝り等はでません。

もちろん不安定だからといってすぐに痛みが出るわけではありません。一定の許容範囲があり、その範囲内で動いている状態であれば、多少の軌道の乱れですぐに痛みはでません。しかしながらその許容範囲を超える痛みを引き起こします。また、すぐに痛みは出ませんが、軌道の乱れがある場合、将来的になんらかの症状が起こることは間違いありません。変形や筋腱付着部変化インピンジメント等が原因となった疼痛が出現します。

肩関節複合体

肩関節複合体(shoulder complex)

肩関節複合体は滑膜性関節構造を有する解剖学的関節と、一般的な関節構造を持たない機能解剖学的関節とに分けられます。解剖学的関節と機能学的関節が相互に協調することで、円滑な方関節運動が遂行されます。

解剖学的関節
①肩甲上腕関節:上腕骨運動の支点
②胸鎖関節:鎖骨運動の支点
③肩鎖関節:肩甲骨運動の支点

機能学的関節
④第2肩関節:肩関節運動における腱板の活動性を円滑化する役割
⑤肩甲胸郭関節:胸郭上での肩甲骨運動を許容する役割を担う
⑥烏口鎖骨靭帯メカニズム:鎖骨と肩甲骨との位置関係を調整する

肩関節複合体を構成する6つの関節の中でも肩として機能を果たすのは『肩甲上腕関節』です。
余談ですが、もともと4足動物であた人が立ち上がり上肢が自由になったという進化がありますが、肩関節においては小さく浅い関節窩に大きな骨頭が適合することで大きな可動性を得ましたが、その分骨性の安定性に乏しくなってしまいました。骨性の安定性に乏しい肩関節は周辺軟部組織が安定性をカバーしなければならなくなり腱板を中心としたローテーターカフが発達しました。

肩関節外転運動時の三角筋と棘上筋とのフォースカップル作用


Visible Bodyより

肩関節外転の作用をもつ三角筋&棘上筋です。肩峰に起始する三角筋は内外転軸から離れた三角筋粗面に張力を作用させます。この際の分力は上腕骨の外転モーメントと同時に骨頭は関節窩から肩峰へ逸脱する力が生じています。上記のことからわかるように、三角筋の外転作用は三角筋だけでは遂行できないことがわかります。

腱板断裂(棘上筋断裂)の場合の動画こちらもわかりやすいです。
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/wp/archives/591
三笠製薬株式会社HPより

棘上筋断裂の場合特徴的な外転姿勢を示していることがわかります。腱板が断裂すると棘上筋による骨頭求心性がなくなるため、骨頭は肩峰にぶつかるまで変位し、その状態のまま肩甲骨の上方回旋運動だけで上肢を持ち上げようとします。動画のような挙上姿勢が観察できたら、腱板断裂の可能性を疑います。

右腱板断裂症例(棘上筋断裂)

肩関節外転に作用する筋肉は上記のように三角筋と棘上筋になります。三角筋は強力な回転モーメントを作用させる役割を持っていますが、外転運動のための支点を形成することができません。肩関節における運動支点とは関節窩に対して骨頭が密着する力を意味し、これを求心力といいます。

棘上筋は大結節の上面を内上方へ向かってひきつけます。棘上筋による支点形成と三角筋による協力な回転モーメントが作用して初めて円滑な外転運動が達成されます。2つ以上の筋が共同して1つの運動を遂行することをフォースカップル作用といいます。

ここまでで肩関節外転運動における骨頭の上下方向の安定化には棘上筋が重要な役割をはやしていることが理解できたと思います。

棘上筋に問題があるかどうかを評価

では棘上筋に問題があるかどうかを評価するにはどうしたらいいでしょうか?
整形外科的テストを紹介しますのでご参考になさってください。
もちろんそれ以外にも断裂はしていないけれどうまく筋収縮を起こせなくなっている場合は多々ありますので、介入による評価も必要になってきます。


drop arm sign

棘上筋を主体とした腱板断裂が存在している場合には、他動的には上肢は挙がりますが自動で上肢を保持するための、骨頭の求心力が発揮できません。検者の指示に反して上肢は外転位を保持することができず下垂してしまうことをドロップアームサインと呼び、腱板断裂を示唆する重要理学所見になります。

supraspinatus test(SSP test)

棘上筋テスト(SSP test)を実施する際、留意しなければならないのは、左右同時に実施することです(動画は片側でやっていますが・・・)。さらに母指は下向き(肩関節内旋位)で実施します。外旋位で実施すると上腕二頭筋長頭腱が代償してしまうため注意が必要です。

次回は肩甲下筋と棘下筋をまとめていきたいと思います。

お楽しみに!