肩関節の評価とその解釈②

肩関節前後方の安定化機構

前回お伝えしたのは『いかに関節窩に対して骨頭の求心位を維持するか』に尽きるということは理解できたかと思います。

本日は①肩甲下筋と②棘下筋についてのまとめをしていきたいと思います!

肩甲下筋

visible bodyより引用、改変

肩甲下筋:肩甲骨の前面に起始し、小結節に停止します。
筋の走行としてもわかるように小結節を前方へ引っ張る力と関節窩に骨頭を押し付ける力に分解されます。このように肩甲下筋は骨頭の前方へのぶれ(不安定性)を安定化する働きがあります。

棘下筋

visible bodyより引用、改変

棘下筋:肩甲骨棘下窩に起始し、大結節に停止します。
棘下筋は大結節を後方へ引っ張る外旋の力と関節窩に骨頭を引っ張る力に分解されています。このように棘下筋は骨頭の後方へのぶれを安定化する働きがあります。

林典雄の運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈より引用、改変 運動と医学の出版社

肩峰下滑液包

visible bodyより引用、改変

棘上筋、棘下筋、肩甲下筋が健康上腕関節における動的安定化に深く関与していることが理解できたと思います。

次に大切になってくるのが肩峰下滑液包になります。
棘上筋は外転運動とともに大結節を近位に引っ張り込むことで支点を形成し、三角筋が上腕骨を回転させます。この時棘上筋腱と接する組織との間には摩擦刺激が発生します。この摩擦刺激が繰り返し起こることで腱板の変性や断裂の原因となります。この部分を守る重要な役割をもっているのが肩峰下滑液包になります。肩関節運動に伴い生じる痛みの多くは肩峰下滑液包周辺で生じることが多く、疼痛を感知する受容器である自由神経終末の分布も非常に密だということがわかっています。肩関節の評価はこの肩峰下活動機構でのトラブルをどう考えていくかがポイントになります。


外転時の肩峰下滑液包の位置関係(動画自体はインピンジメント症候群の説明)

肩峰下活動機構に関連する組織

肩峰下活動機構のトラブルにより生じる疼痛、機能障害は肩峰下活動機構を構成する組織に破綻が生じることで発生します。肩峰下滑液包を調べると多くの図では肩峰下滑液包は上腕骨頭を軽く包んでいるのかな・・・というイメージになりますが、実際肩峰下滑液包は棘上筋腱をはじめとするこれら組織の上方に広く面として存在していることが下記の図から分かります。

林典雄の運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 運動と医学の出版社より引用

肩峰下滑液包の機能は、肩峰下における棘上筋の滑り効率を高めるとともに骨頭が情報変位した際のクッションとして作用します。

肩峰下インピンジメント症候群

肩峰下活動機構のトラブルにより生じる疼痛は肩峰下活動機構を構成する組織に機械的刺激が加わることで生じます。肩峰下の空間がより狭い環境にあればあるほど相対的に機械的刺激が大きくなります。

上肢の外転運動においてはどのような状況になると肩峰下腔が狭くなるのか?上肢の外転運動では外転するにしたがい大結節が腱板の近位への滑りとともに移動しますので、大結節が肩峰下に位置するときに肩峰下腔は空間として窮屈になります。この時、骨頭の求心性が低下して骨頭が上方に変位すると腱板が挟み込まれたり大結節が烏口肩峰アーチや肩峰へ衝突するなどの肩峰下インピンジメントが発生します。

painful arc sign

ペインフルアークサイン(painful arc sign)肩峰下インピンジメント症候群の症例は肩関節外転の際に一定の角度の範囲で疼痛を訴えます(外転60-120°の範囲)。この範囲より大きくても少なくても疼痛は軽減します。

他にもNeer impigiment test、Hawkins impingiment test等が肩峰下インピンジメントを確認する徒手検査になります。

Hawkins impingiment tes
Neer impigiment test

次回は肩関節機能の神経障害をまとめていきたいと思います。またお願いします!