胸郭の運動②

胸郭の運動①について

胸郭とは何か、胸郭の形状や呼吸時の動きに左右差があることをお伝えしましたが、その理由、左右差がなくなるようにするにはどのように私が臨床を組み立てているかをお伝えできればと思います。
あくまで≪私の≫臨床なのでこれをやればということはありません。結果的に左右差をなくす目的で実施し、それが達成されれば良いと思います。

胸郭のアライメント

胸郭の凹凸や動きを把握する評価は胸郭のアライメント①でお伝えしましたが、続いて胸骨の前後傾をチェックします。

胸骨の前後傾を評価する理由として、

①胸郭のアライメントの把握
②重心位置に胸郭がどれくらい関与しているか評価

だと私は考えています。

胸骨前後傾の評価方法

胸骨の前後傾の評価方法ですが、胸骨と剣状突起を触れます。

町田志樹著 PT・OTビジュアルテキスト 解剖学 第一版より引用、改変
柿崎藤泰著 胸郭運動システムの再建法第2版より引用

<注意点>
①頭部を動かさないこと
②検者は胸骨と剣状突起を同時に一側の手で触診すること
③胸式呼吸を意識してもらう

(*胸を膨らませるように呼吸するよう指示する)

ここで深呼吸を実施してもらいます。上図のように一方の手で胸骨柄と剣状突起を触れ、もう一方の手で胸椎棘突起を触れ、深呼吸を実施します。その際吸気、呼気時における胸骨と剣状突起の位置関係と胸椎長軸の位置関係を確認していきます。

呼吸時の胸骨の動き。胸骨の中でも上部、下部で逆の動きとなる。
胸郭運動システムの再建法より抜粋

吸気時:胸骨前傾 呼気時:胸骨後傾 → 前傾タイプ
吸気時:胸骨後傾 呼気時:胸骨前傾 → 後傾タイプ
どちらも動かない → ニュートラル(最適)
*全く動かないというより動きが限りなく小さい状態

このように分けられます。あくまで胸郭を運動器として見立てた場合の理論なので、すべてが当てはまるわけではないですが、私はしっくりくる考え方です。
詳細は文京学院大学の柿崎教授が書かれている本をご覧ください。
こちら↓↓

amazonはこちら

ちょっとわかりにくい場合

確認していてちょっとわかりにくい場合もあると思います。
胸骨が前傾するということはその際肋骨はどのように動くかというと・・↓↓

胸骨前後傾時の肋骨の動き
胸郭運動システムの再建法より抜粋

胸骨前傾タイプ:上部胸郭後方回旋、下位肋骨前方回旋
胸骨後傾タイプ:上部肋骨前方回旋、下位肋骨後方回旋
*上部胸郭(第1~6肋骨)下位胸郭(第7~10肋骨)

胸骨が前後傾しないほうが良いですが、動かないのではなく、必ず呼吸時に肋骨は動きます。必ず前傾か後傾どちらかに分かれます。

動きとしては上図のように動きますので、肋骨を触れ、深呼吸時のどのように回転していくかを触診できれば判断できると思います。自分でも姿勢を変えて深呼吸をして肋骨を触れてみるとわかりますので、練習がてら自分の肋骨の動きを確認しても良いと思います。

評価方法としては
①直接触診するか
②胸骨のランドマークで評価するか

の2つです

前回まとめた左右差の他、胸骨の前後傾も一緒に評価し、どのように胸郭が動いているかを確認していきます。

胸郭の動きを評価まとめ

①呼吸時の胸郭全体の動き
②呼吸時の胸骨の傾き
③呼吸時の肋骨の動き

が動きの評価となります。そもそもなんでこのような動きになるのか?なぜ評価しないといけないのでしょう?

なんでこんな動きになるか?

①関節が原因で靱帯や筋の反応によって柔軟性に差がある場合
②他に問題があり、胸郭にその問題が波及している場合

関節が原因による柔軟性が問題

胸郭には本当に多くの筋、靭帯が付着しています。当然関節が問題になっていた場合、筋、靭帯に問題が波及します。最近ではfasiaも含まれていますので、骨、靭帯、筋、膜の問題で柔軟性のコントロールが不良となります。私は関節に対して介入することが多いですが、fasiaに対する介入でももちろん効果が出るかと思います。

他に問題がある場合

筋膜や筋等肋骨に付着している組織はたくさんあります。例えば肋骨から仙骨に付着する胸腸肋筋に問題があった場合胸郭の関節や組織以外にも骨盤の関節(仙腸関節)や周囲組織にも問題が起こります。そのように波及していくので基本的で胸郭だけで問題が起こるというよりはいろいろな条件が重なり起こるという形になります。

今回はこのぐらいで・・・
次回は介入について動画を交えて解説していきます。